(吸音くんのBLOG2) 防音の三原則とは

 防音の3原則は、音の伝わり方をコントロールし、騒音を減少させるための基本的な方法論です。これらの原則を適切に適用することで、住宅、オフィス、スタジオなど様々な環境での騒音問題に対処することが可能になります。以下に、その3つの原則を説明します。

1. 音の遮断(Sound Blocking)

 音の遮断は、物理的な障壁を用いて音波の進行を阻止することにより、一方の空間から別の空間への音の伝播を減少させる方法です。壁、ドア、窓などの構造を強化し、密閉性を高めることで実現されます。遮音性能の高い材料を使用し、隙間をなくすことが重要です。この原則は、特に外部からの騒音を内部に入れない、または内部の音を外部に漏らさない場合に効果的です。

・密閉性

 音波は空気を介して伝播するため、完全に密閉された空間は音の伝わりにくい環境を作り出します。窓、ドア、壁の隙間など、微小な開口部も音の漏れ道となり得るため、隙間をできるだけなくして密閉性を高めることが重要です。密閉性を高めるためには、気密性の高い建材の選択や、隙間を埋めるための専用のシーリング材の使用が効果的です。

・重量法則

 一般に、壁や障壁の質量が大きいほど、音の遮断性能は向上します。これは「重量法則」として知られており、質量が2倍になると、遮音性能は約6デシベル向上するとされています。したがって、重量のある材料を使用することで、より効果的に音の伝播を防ぐことが可能です。

・複層構造

 壁や床、天井などの構造に複数の層を設けることで、音の遮断性能を向上させることができます。異なる密度の材料を組み合わせることで、音波のエネルギーを効率的に減衰させることが可能となります。空気層を設けることも一つの方法であり、これにより音波が直接伝わるのを阻害する「ばね」の役割を果たします。

・音響ブリッジの排除

 音響ブリッジとは、音が構造的に伝わる経路のことを指し、これが存在すると音の遮断性能が大きく低下します。構造体同士が直接接触している部分や、硬い材料を介して音が伝わりやすい箇所を排除することが重要です。例えば、二重壁の間に柔らかい断熱材を挟むことで、この問題を軽減できます。

 音の遮断を効果的に行うためには、これらの要素を総合的に考慮し、適切な材料選びと設計を行うことが必要です。特に、複雑な音響環境や高い遮音性能が求められる場合には、専門の音響設計者のアドバイスを受けることが推奨されます。

2. 音の吸収(Sound Absorption)

 音の吸収は、音波が物質に衝突したときに、そのエネルギーを吸収し変換することで音を減衰させる方法です。吸音材料(フォーム、カーペット、カーテンなど)を使用することで、反響やエコーを減少させ、室内の騒音レベルを下げることができます。この原則は、室内の騒音をコントロールし、より快適な聴覚環境を作り出すのに役立ちます。 ここでは、音の吸音についての基本原理、使用される材料、およびその効果について詳しく解説します。

・吸音の原理

 音の吸音は、音波が柔らかい材料に衝突する際に生じます。このプロセスで、音波の運動エネルギーは材料によって吸収され、一部が熱エネルギーに変換されます。吸音材料は、音波が内部で複数回反射し、その過程でエネルギーが徐々に減衰するように設計されています。

・吸音材料

 吸音材料は、その構造と素材によって異なる吸音特性を持ちます。一般的に使用される吸音材料には以下のようなものがあります。

  • オープンセルフォーム:空気を含む柔らかいポリウレタンフォームやメラミンフォームなどがあり、空気の摩擦により音エネルギーを吸収します。
  • ファイバー素材:ガラスウールや岩綿、天然繊維など、細かい繊維が音波を散乱させ、内部で吸収します。
  • パーフォレーテッドパネル:小さな穴が開いたパネルは、背後に空間を持つことで音波を捕捉し、吸収します。

吸音の効果

吸音材料の適切な使用は、以下のような効果をもたらします。

  • 反響時間の減少:室内の反響音を減少させ、クリアな聞こえを実現します。
  • 騒音レベルの低下:空間内の騒音レベルを減らし、快適な聴覚環境を提供します。
  • 音質の改善:特定の周波数帯の音を適切に吸収することで、音楽演奏やスピーチの音質を向上させることができます。

吸音材料の配置

 吸音材料の効果を最大化するには、その配置が重要です。部屋の反響音を効果的に減少させるためには、壁面や天井、場合によっては床にも吸音材料を適切に配置する必要があります。また、特定の周波数の音をターゲットにする場合、材料の種類や厚み、背後の空気層の深さを調整することで、望む吸音特性を得ることが可能です。

吸音は、単に音を”消す”だけでなく、室内の音響環境を整え、より良い聴覚体験を提供するための重要な手段です。

3. 音の遮断と吸収の組み合わせ

 最も効果的な防音対策は、音の遮断と吸収を組み合わせることです。遮音によって音の伝播を物理的にブロックし、吸音材料を用いて室内に侵入した音のエネルギーを減衰させることで、さらに高い防音効果を実現することができます。これにより、騒音の源から離れた場所でも、静かで集中しやすい環境を確保することが可能となります。 このセクションでは、その組み合わせ方と、それによって得られる効果について詳しく解説します。

・音の遮断

 音の遮断は、音波が他の空間に伝わるのを物理的にブロックすることに重点を置いています。重量法則に従い、質量のある材料を使用したり、複層構造を採用することで達成されます。このプロセスでは、密閉性を高め、音響ブリッジを排除することが重要です。音の遮断は特に、外部からの騒音を減少させたい場合や、特定の空間からの音が外部に漏れ出るのを防ぎたい時に有効です。

・音の吸音

 音の吸音は、室内に侵入した音波のエネルギーを吸収し、反響やエコーを減らすことを目的としています。吸音材料(例えば、オープンセルフォーム、ファイバー素材、パーフォレーテッドパネルなど)は、音波が物質内で散乱し、エネルギーが熱に変換される過程を促進します。これにより、室内の音響クオリティが向上し、より快適な聴覚環境が実現します。

・複層構造

 壁や床、天井などの構造に複数の層を設けることで、音の遮断性能を向上させることができます。異なる密度の材料を組み合わせることで、音波のエネルギーを効率的に減衰させることが可能となります。空気層を設けることも一つの方法であり、これにより音波が直接伝わるのを阻害する「ばね」の役割を果たします。

・組み合わせの効果

遮音と吸音の組み合わせは、防音と音響改善の両方の目的を達成するための最も効果的なアプローチです。具体的には、以下のような効果があります。

  • 外部騒音の軽減:音の遮断によって外部からの騒音が減少します。
  • 室内音響の最適化:音の吸音によって、室内の反響やエコーが抑制され、クリアで快適な音環境が作り出されます。
  • プライバシーの向上:遮音により会話や機械音が外部に漏れにくくなり、また、外からの音が入りにくくなるため、プライバシーが保護されます。

実装のポイント

  • 正確な設計:空間の用途に応じて、遮音と吸音のバランスを適切に設計する必要があります。例えば、音楽スタジオでは吸音を多用し、オフィスや住宅では遮音に重点を置く場合があります。
  • 材料の選択:遮音には重量のある密閉性の高い材料を、吸音には高い吸音率の材料を選ぶことが重要です。
  • 施工の精度:音響ブリッジを避け、密閉性を確保するために、施工の精度にも注意を払う必要があります。

 遮音と吸音の組み合わせを通じて、音響環境の質を大幅に向上させることができます。このアプローチにより、住宅、オフィス、公共施設など、さまざまな場所での騒音問題に対処し、より良い聴覚体験を提供することが可能となります。

弊社の取り扱い商品 【吸音ワークスペース】

吸音ワークスペース【外観】

弊社においては、快適で生産的なオフィス環境を実現するための「吸音ワークスペース」を本社6階ショールームにて展示しております。製品の特徴や仕様、ご購入方法など、どのようなご相談でもお気軽にお問い合わせください。

吸音ワークスペースの期待されるメリット

  • 騒音軽減: オフィス内の雑音や会話の騒音を効果的に吸収し、静かな作業環境を提供します。
  • 集中力向上: 周囲の騒音が減少することで、作業や勉強への集中力が向上します。
  • ストレス軽減: 騒音によるストレスが減少し、働きやすい環境が整います。
  • プライバシー保護: 会話が外部に漏れにくくなり、プライバシーの保護に役立ちます。
  • コミュニケーションの質向上: より静かな環境では、意思疎通がスムーズになり、コミュニケーションの質が向上します。
  • 作業効率の向上: 無駄な中断が減り、作業効率が向上します。
  • 疲労感の軽減: 長時間の作業でも、騒音による疲労感が軽減されます。
  • 外観の向上: モダンなデザインの吸音材を使用することで、オフィスの外観と雰囲気を向上させることができます。
  • 多様な用途: 会議室、個人のワークスペース、オープンスペースなど、様々な場所に適用可能です。
  • 長期的なコスト削減: 効果的な騒音管理により、従業員の健康や生産性を維持し、長期的に見て人件費や医療費などのコスト削減につながります。
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